The Five Senses
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2002年11月20日(水) |
The scar is deeper than I thought. |
信じられるだろうか あたしの目が信じられなかった。 朝、メールを開けたら誰からメールが来ていたか・・・ 誰からのメールが来ていたか。 4通の新着メール。 そのうちの一通は・・・
心臓は早鐘のように打ち、 手は震え、 瞬きもしていたのかわからない。 ただ、どこかで一人になって思いっきり泣きたかった。
謝罪のメールだった。 何をいまさら? いまさらこの人何言ってるの? あたしはもうこっちにいるし、 それを見計らってメールをした可能性もあるけど、 一体何を考えているの? あたしはあなたの情報を全て消したし、 一緒にいる写真も捨てた。 何であなたはまだ持っているの?
あなたがあの時待っているといわなければ、 あたしはこんなに傷つかなかったし、 こんな風にもならなかった。 一緒にいたときがどんなに楽しかったとしても、 その結果を思うといつも吐き気がして、気分が悪くなった。
あの日々を思うと、自分がかわいそうで仕方がない。 スプリングブレイクの、あの感情は何だったんだ。 そして、あんなにSを拒んだ自分は何だったんだ。 全てがわかったとき、 自分を含め、全てが一瞬にして無になった。
出会ってからもう1年近く、 あれからもう半年以上経つ。 全てはまだ鮮明に思い出せるし、MKTRの顔は思い出せないのに Wの顔は鮮明に思い出せる。 そして、あの瞬間も今でも思い出せる。
会えないことに疲れて、感情が麻痺して 自分から別れを切り出しながら、 後悔した。 その日の夜は、あまり眠れない日が続いていたので、 睡眠をとるため体を疲れさせるためにジムで5時間も走っていた。 しかし,走っても走っても疲れている感覚はなく、 汗もさわやかなものではなく、 かえって気分が悪いものだった。 肉体的な疲れは全て精神のほうに廻り、 足だってあんなに走って疲れているはずなのに、 それさえ感じなく、精神も研ぎ澄まされたように冴えていた。 その日の夜も結局眠れなかった。 結局後悔した末、電話をかけなおした。 出ない。返事をしない。電話に出ない。 一晩中かけて、朝の4時ごろ、 向こうの7時ごろようやく相手が出た。
あの瞬間は今でも思い出せる。 声が出ないというのは、初めてだった。 息が詰まって、言葉が一瞬にしてのどの奥に引っ込んでしまい、 ようやく発した声は、どこから出ているのかわからない、 誰か他人がしゃべっているような感じだった。 全身の力が抜け、 涙さえも出てこない。 胃から何か出てきそうになったが、 のどが苦しくてそれさえもできず、 あのソファに座ってしばらく動かなかった。 紙を破りたくなり、雑誌をびりびり一枚ずつ破っていった。 他人から見たらまるであれは狂気だったに違いない。
それしかやることは見つからなかった。 どうしようもなかった。 2,3冊破り終わったあとそれを片付けることもなく その上に寝転んで薄暗い中しばらくボーっとしていたのを覚えている。
あたしはWilliamを好きだったし、信じようとした。 どういうことになっているのか説明してもらおうとメールを出した。 電話をした。 今まで一度も返事はなかったし、電話も自分では受け取らなかった。 せめてあたしは、何も知らないあたしに説明してもらいたかっただけなのに。 遠距離は無理だと思ったあたしは何度も告白するチャンスを与えた。が、 結局彼はそれを裏に潜め続け、最後には貝になり、 あたしからのコンタクトを無視し、拒否し続け、 自分の犯したことから逃避しようとしていた。
あたしは責めようとしているわけではなく、 ただあたしから見れば、この出来事はこのように起こったといいたいだけ。
あたしはその後、不思議と前のディプレッションよりひどくない状態になったが、 思い出すたびに胃が引き締められ、吐き気がした。
そして夏に日本に帰り、仕事を見つけてから休みなく働き、遊び、 MKTRに出会い. それでもあたしの起こったことは変えられるわけではないし、 消せるようなものではない。 ぎりぎりと縄で締め付けられた傷は深く、 その感覚は忘れることができない。
時効とか、そういう問題ではない。 許すとか許さないとか、そういう問題でもない。 それは手の甲の傷跡のように、後々まで残るもので、 そういった問題では済まされないほど深いところまでいっていた。 そして、その傷跡のように、意識しなければ、 何もその時の痛さを思い出したりしないのに、 彼はだいぶん立ち直りかけてきて、ほとんど立ち直り、 新しい方向に進みかけていたときに またそれを掘り返し、あたしはまたその痛さに苦しめられることになる。
一体何を求めているんだろう。 友達であること? あたしが今どこにいるか定かでないのに 友達であることをいまさら求めるのだろうか? このまま一生連絡を取らないほうがいいと思わなかったんだろうか。 あたしにとっても、彼にとってももう連絡は取らなくていいと、 思わなかったんだろうか?
いまさら謝られても、あたしにはどうしようもない。
傷がひりひりして、赤い血がにじんでいるのがわかる。
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