Sotto voce
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土曜の夜(時間的に言うなら正確には日曜だが)、 電車通りをひたすら歩いていくと、 目線の先にぼんやりと青地に『新屋敷』の文字が見えてきた。
このまま電車通りから逸れ、 細い路地に入れば大切な友人の家がある。 衝動的に(本来の目的地とは真逆方向の)横断歩道を渡り、 路地に入り、友人宅の間近に来て我に帰る。
こんな時間に押しかけて行って何をしようというのか。 街灯に照らされた時計の針は既に2時を経過している。 いくらなんでも、夜中2時過ぎに押しかけるなんて 非常識以外の何物でもない。 仮に友人が受け入れたにしても私が彼女に何を話せようか。
止むことのない細かい粒子の雨が ざわつく心をさらにかき乱す。 吹き付ける強い風は頬に落ちる涙をあっという間にさらう
移動時間4時間、逢っている時間は2時間足らず、 相手の都合と自分の懐具合の都合とはいえ、 途中で相手の車から降り、夜中の街をとぼとぼ歩いている自分。
私は何をしているんだろう 私はどうしたいんだろう この消えようのないもやもやを どうやって吐き出せば私は楽になれるだろう。
友人宅前から引き返し、再び電車通りに戻る。 こんな場所でもさすがにタクシーは少ない。 目的地まであと数km、 とにかく明日の為に家に帰らねば、 その思いだけが私を前に進ませていた。
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