Human's darkness |
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2002年05月19日(日) | |
午前中からじっくり3時間かけて北村薫「盤上の敵」を読破。 これで「リセット」以外はほぼ網羅した事になる。 「盤上の敵」は、「円紫師匠と私」や「覆面作家」シリーズに見られる 北村さんの持つ「日常の謎」や「明るめ」といったイメージとは 明らかにテイストの違う作品。 ストーリーは重め、トリックの伏線も重め、終わりもハッピー。。。とは言い切れない。 もちろん、トリックそのものの出来は他の作品にもまったくひけを取らない、 「なーるほど。。」と口に出していってしまったくらい。 それでも、北村さんの作品を今まで読んできた点からみると、やや「異色」かも知れない。 ただ、北村さんの作品に流れている物としては、やはり同じ。 思うにそれは人の「悪意」 (以下、ネタバレ気味) 「砂糖合戦」の砂糖と塩を入れ替える高校生であったり、 「赤頭巾」の奥さんの友人との浮気を平然とこなすその旦那さんであったり、 「朧夜の底」の書店から本を平然と持ち出し返すことを繰り返す誰かであったり、 「ターン」の柿崎であったり。 作品自体が読みやすくても、北村さんのトリックの裏には、 ある意味殺人より重い、人間的な「悪意」が存在する。 「盤上の敵」は、その裏に隠れた物を全面的に表に持ってきた、 いわば「挑戦的」な作品なのかもしれない。 読後感は決していい物ではないけれど、考えさせられる。 「兵頭三季」のような人間は、存在すると思うから。 P.S 昨日、話をきいてくれた誰かへ。 本当にありがとう。 |
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