nomiの思考

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1分間小説「さみしいうさぎ」
2004年06月01日(火)

うさ子は現在無職で彼氏もいない。おまけ
に実家に寄生虫。いよいよ貯金も底をつき、
30歳を目前に、持っていたものは殆ど失っ
た。

「うさ子みたいなタイプが、誰よりも早く幸
せを掴むんだよ」

うさ子は、大昔に友人にいわれたその言
葉を、ついこの間まで、本気で信じていた
のがイタイ。

「子うさぎに戻ってやり直したい」

それが最近のうさ子の口癖だ。周囲にネ
ガティブアプローチをしている自分を自覚
しているのか、ひとり部屋に引き篭もる日
々。

せっかくなので、うさ子は「生きる意味」に
ついて考えてみた。だが、考えれば考え
るほど、ますます意味がわからない。

「せめてうさ吉にモテたらなぁ」

うさ子が鏡を覗くと、そこには幸薄そ~な
「うさぎ顔」が苦笑している。

うさ子はあまりにさみしくて、道路に面し
た部屋の窓を開けてみたが、何分待って
も、誰も歩いて来なかった。




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