nomiの思考

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1分間小説「面倒なこと」
2004年06月09日(水)

無口なヒナは、「面倒なこと」が大嫌い。
よほどのことが無い限り、めったに自分
の感情を表に出すことはない。たまに
女々しい男もいるが、大抵、「面倒なこと」
をしかけてくるのは「女」である。そのせ
いか、ヒナには女友達よりも、男友達の
方が多かった。

そんなクールなヒナの性格を知らない人
もまた多い。

            ◇

「文子先輩て、苦手」

仕事の後。職場の同僚である由香は、つ
いこの間まで仲良くしていたはずの先輩
の悪口をヒナに漏らす。

「由香は、文子先輩のことが苦手だった
んだ、知らなかった」

「ヒナも本当はそう思ってるんでしょう?」

「うーん、そんなに深く話したこともない
し、良くわからないな」

「絶対、ヒナも苦手だって。みんなもそう
いってるよ」

            ◇

洗脳が始まった。そんな時、ヒナは心の
中で、いつも思う。
「憶測でものを言わないでくれ。だいたい、
みんなって、誰なんだ?全員の名前をあ
げてみろっ!!」と。

だが、余計に「面倒なこと」になりそうな
ので、それさえも口にせず、黙って聞い
ているヒナだった。




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