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「あいつは悪人だ」 「親びん、あいつは悪人を演じているだけ ッス」 「あいつはヅラだ」 「あれはどう見ても本物ッス」 「あいつはデブで、おまけにマザコンだ」 「ま、まじッスか・・・」 「何を信じるか?」 「なんスか、それ」 「いいか。信じられることはただひとつ。俺 があいつに惚れているということだ。ハゲ ていようがデブだろうが関係ない。誰も人 の心だけは奪うことはできないんだぞ。そ のためにも、強い心を持たなければ」 「親びん、なんか大人ッスね」 「いや。ただ、俺はあらゆる情報に翻弄さ れずに、自分を信じて進みたいんだ」 「ど、どうしちゃったんスか?」 「これまで蓄積したもの、大切に持ってい たものを思い切って捨てる勇気が欲しいだ け。分からない未来のために、分かってい る今を捨てる。心ひとつ守り、何を捨てて どう生きるかというだけの話なんだけどね。 そこには知恵が必要だし、必ず大きな痛 みが伴うもんだ」 「分からないッス。自分、何も捨てずに手 に入れたいッス」 「うむ。これは俺の哲学だからな。つまり、 非常に辛いが、お前とも、もうお別れだ」 「ま、まじッスか、親びん・・・」 「冗談(笑)」
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