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美咲と憲太郎は仲がよく、憲太郎が男仲間 とマージャンをする時はいつもついて行く。 決して態度には出さないが、美咲は憲太郎 のことがめちゃめちゃ好き。なぜって憲太郎 が、マージャンで負けたのを一度も見たこと がないから。憲太郎は人の心理を読むのが とても上手いのだ。 毎回負けるカモはさぞ悔しいことだろう。たま に、そんな憲太郎を「憎たらしい」と思うことも あるが、何故か憎めない。むしろ、後ろから 憲太郎の手稗を見るのが楽しくて、楽しくて。 ◇ 美咲は、いつものように、カモから大金を巻き 上げた憲太郎に、思い切って告白を決意した のだが。 「ねぇ、わたしの心理も読める?うふっ」 「最近通っているダンススクールのインス トラクターに惚れただろ」 うん?違うわよ、わたしは、わたしは・・・と言 いかけて美咲はたと気づく。確かに、最近ダ ンススクールへ行くのが楽しくて仕方がない。 妻夫木聡似のイケ面インストラクターがいる からだ。でも、それはやはり「好き」とは違う わけで。 「まっ、まさか食事に誘われて、ホイホイつい てったりしたのかよっ!」 突然大きな声を出す憲太郎に、美咲は目が 点。だいたい誘われても食事なんて行くわけ ないし。 美咲は、いつかきっと憲太郎がマージャンで 負けてしまうような気がした。
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