nomiの思考

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1分間小説「見当違い」
2004年06月29日(火)

美咲と憲太郎は仲がよく、憲太郎が男仲間
とマージャンをする時はいつもついて行く。
決して態度には出さないが、美咲は憲太郎
のことがめちゃめちゃ好き。なぜって憲太郎
が、マージャンで負けたのを一度も見たこと
がないから。憲太郎は人の心理を読むのが
とても上手いのだ。

毎回負けるカモはさぞ悔しいことだろう。たま
に、そんな憲太郎を「憎たらしい」と思うことも
あるが、何故か憎めない。むしろ、後ろから
憲太郎の手稗を見るのが楽しくて、楽しくて。

            ◇

美咲は、いつものように、カモから大金を巻き
上げた憲太郎に、思い切って告白を決意した
のだが。

「ねぇ、わたしの心理も読める?うふっ」

「最近通っているダンススクールのインス
トラクターに惚れただろ」

うん?違うわよ、わたしは、わたしは・・・と言
いかけて美咲はたと気づく。確かに、最近ダ
ンススクールへ行くのが楽しくて仕方がない。
妻夫木聡似のイケ面インストラクターがいる
からだ。でも、それはやはり「好き」とは違う
わけで。

「まっ、まさか食事に誘われて、ホイホイつい
てったりしたのかよっ!」

突然大きな声を出す憲太郎に、美咲は目が
点。だいたい誘われても食事なんて行くわけ
ないし。

美咲は、いつかきっと憲太郎がマージャンで
負けてしまうような気がした。



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