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末っ子の冬子にはずっと気にかかっている ことがあった。それは今年で36歳になる長 男の秋夫のこと。もう良い歳だというのに 独身で、外見もパッとしない。気は優しい が口下手で、決してモテるタイプでもない。 そして何より、心に傷を負っていたから。 数年前のこと。30歳で家を出てひとり暮ら しをしていた秋夫から実家に一本の電話 が入った。 「会わせたい人がいるから、今週の土曜日 に連れいていきます」 だが、土曜日を迎える前に、相手の女性は 交通事故で亡くなってしまった。口下手の 秋夫から出た言葉は、後にも先にも「結婚 の約束をしていた」ということだけ。幸い仕 事だけは順調らしいが、それ以来秋夫から の連絡は途絶えた。 ◇ ところが今日、同居している母親から、秋夫 の朗報を聞いた。零れる笑顔と一緒に。 「冬子!良い知らせがあるの!秋夫が!紹 介したい人がいるから、今週の土曜日に連 れてくるって!」 日常の幸せというもはこういうものなのだろ う、と冬子は思う。 心をつくし、魂をかけたむけ、秋夫の幸福を 祈った。 ================================= 祈りを込めて1曲 『平井堅「瞳を閉じて」』 朝目覚める度に 君の抜け殻が横にいる ぬくもりを感じた いつもの背中が冷たい 苦笑いをやめて 重いカーテンを開けよう 眩しすぎる朝日 僕と毎日の追いかけっ こだ あの日 見せた泣き顔 涙照らす夕陽 肩のぬくもり 消し去ろうと願う度に 心が 体が 君を 覚えている You Love Forever 瞳をとじて 君を描くよ それだけでいい たとえ季節が 僕の心を 置き去りにして も いつかは君のこと なにも感じなくなるの かな 今の痛み抱いて 眠る方がまだ いいか な あの日 見てた星空 願いかけて 二人 探した光は瞬く間に消えていくのに 心は 体は 君で輝いている I Wish forever 瞳をとじて 君を描くよ それしか出来ない たとえ世界が僕を残して 過ぎ去ろうとし ても You Love Forever 瞳をとじて 君を描くよ それだけでいい たとえ季節が 僕を残しても 色を変えよ うとも 記憶の中に君を探すよ それだけでいい なくしたものを 越える強さを 君がくれた から 君がくれたから
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