◎ 欲しかったもの。 ◎


この病気になって。

真っ暗闇の病室の中で
薄明かりの灯る外来で
咽そうになる喫煙室で

真夜中の誰も居ない場所で
誰にも助けを求める事も出来ず
只涙だけを流し続けた私が
何よりも一番欲しかったもの。

それは

『存在意義』。

血縁者以外に、私を必要としてくれる人が欲しかった。

今の自分には何の力も無いというのに

只、誰かの力になりたかった。

自分が此処に、この世に居ても良いんだという、証拠が欲しかった。



そして

それは、ちゃんと、確かに、しっかりと、私の傍にあった。

他の人のついでじゃなくて、『私と』遊びたいと言ってくれる人。

信頼してるよ、と、電子文字で伝えてくれた人。

『君に話したい事が沢山ある』と、優しい文字で教えてくれた人。

ありがとう。

本当に嬉しくて、一瞬視界がぼやけてしまった。



ありがとう。

まだ私は、此処に居て良いんだね?

少しでも、一歩でも。皆の支えになれるんだよね?

まだ私は…皆の傍に、居ても良いんだね?

ありがとう。

涙の混ざった言葉を噛み締めて、今日は夜を明かそう。


   − 2005年06月22日(水) −

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