◎ 終戦記念日。 ◎

昼の12時。
甲子園をテレビで見ていたら、サイレンが流れた。
私は当然の様に目を閉じて、テレビと市内放送のサイレンを聴いていた。
サイレンが消えて、目を開いて、甲子園の続きを見る。
すると、一緒にテレビを見ていた弟が、私に言った。


「ねぇ、今日って何時に爆弾が落ちた日なの?」


…嗚呼。
何て悲しい世界なんだろう。
今日は終戦記念日だよ、と教えた私は、頭がグラグラした。
そんな事はお構いなしに、弟はテレビに釘付けになっていた。

弟は、決して馬鹿な子な訳ではない。
寧ろ勉学はどの教科でも私が驚く程の好成績を残している。
そんな子が。
原爆が落ちた日を。
戦争が終わった日を。
何も、何も知らないのだ。

せめてこの戦争の、最低限の事くらいは知っていて欲しかった。
でも、あの子は何も知らなかった。

最近の子は、皆そうなのだろうか。



   − 2005年08月15日(月) −

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