つい数ヶ月前まで入院していた病院に戻った夢だ。
そこでの私は、まるで友達の前に居るかのような笑顔を浮かべて 記憶の中の本物とはかなり形の変わった院内中を掃除していて、 それなのに、看護師さんの姿を見止めた瞬間、その身体に縋って泣き始めた。
廊下の真ん中で 駄々をこねる小さな子どもの様に ただその細い身体に縋りついて泣いていた。
看護師さんは、ただ「それで良い」とだけ言って ひたすらに泣き続ける私をずっと離さずにいてくれた。
…私、は。あの場所に戻りたいのだろうか。 医師に最後まで本音を告げられなかったあの場所に。 看護師から最後まで逃げていたあの場所に。 結局…苦しさからは抜け出せなかったあの場所に。
それは、分からない。 分からないけれど、一つだけ分かった事がある。
多分今の私は、縋って泣ける場所が欲しいんだ。
独りで立てないから、伸ばしてくれる手が欲しい。 独りで歩けないから、傍で支えてくれる存在が欲しい。
とんでもなく甘えた考えだけれど。 今の自分は、恐らく本当にそうなんだ。
でも、実際に与えられたら、自分は本当に立ち上がれなくなるから。 今のままが一番良い。―――独りで立てると過信している、今が。
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