◎ 夢を見た。 ◎


つい数ヶ月前まで入院していた病院に戻った夢だ。

そこでの私は、まるで友達の前に居るかのような笑顔を浮かべて
記憶の中の本物とはかなり形の変わった院内中を掃除していて、
それなのに、看護師さんの姿を見止めた瞬間、その身体に縋って泣き始めた。

廊下の真ん中で
駄々をこねる小さな子どもの様に
ただその細い身体に縋りついて泣いていた。

看護師さんは、ただ「それで良い」とだけ言って
ひたすらに泣き続ける私をずっと離さずにいてくれた。

…私、は。あの場所に戻りたいのだろうか。
医師に最後まで本音を告げられなかったあの場所に。
看護師から最後まで逃げていたあの場所に。
結局…苦しさからは抜け出せなかったあの場所に。

それは、分からない。
分からないけれど、一つだけ分かった事がある。

多分今の私は、縋って泣ける場所が欲しいんだ。

独りで立てないから、伸ばしてくれる手が欲しい。
独りで歩けないから、傍で支えてくれる存在が欲しい。

とんでもなく甘えた考えだけれど。
今の自分は、恐らく本当にそうなんだ。

でも、実際に与えられたら、自分は本当に立ち上がれなくなるから。
今のままが一番良い。―――独りで立てると過信している、今が。


   − 2005年10月02日(日) −

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