今日は午前中に歯医者に行った。 その時に、母親が私の進路に対しての意見を言ってきた。
「あんまりに唐突過ぎるからねぇ」 「“朝起きる”ってのは、その他の色んな要因も絡んでいるんだろうから…」 「朝起きられて、学校行って、そういう“普通の生活”が出来るのか、 ってのが賭けみたいで」 「一か八かの賭けをやる程、価値のあるものとは思えない」
そう言われて、その時はふぅん、って聞き流したんだけれど、 放課後に心の中で母のその台詞を反響させていたら、凄く悔しくなった。 どんどん考えを詰めて詰めて詰めてったら、その内に疑問が 「今年度は進学無理ってことかな」から、「何で病気治らないの?」に変わった。
鼻がツンとして、それが止まらなくなって、 学校の一階の教職員用のお手洗いに逃げるようにして飛び込んだ。
何で私の思い通りにならないの? 何で普通の生活が出来ないの? 何で一年も経つのに“ビョウキ”が治らないの?
なんでなんでなんでなんでなんで!!
途端に、堰を切ったように涙が零れてきた。 ぼたぼたと音を立てて落ちていく涙は久しぶりで、止め方が分からなかった。 喉からも声が漏れて、もうどうしようもなくて、 歩けるくらいに視界を保てる程度に涙が引っ込んだタイミングを見計らって 私は今度は保健室へと走っていった。
保健室前の廊下に涙目で突っ立っている私を見て、先生達は驚いていた。 そして、何も話さず、ただぼろぼろと泣いているだけの私には 保健室の先生も、途中で駆けつけた担任の先生も、何も出来なかった。
「もう何も出来ない!無理だ、何で、もう嫌だ!!」 心の中を、文になんてなっていない言葉を、あの場で素直に吐き出せたら どんなに楽だっただろう。泣き叫べたらどんなに楽だっただろう。 でもやっぱり私は甘え下手で、変な理性と恥が喉にずっとつっかえていて 結局その変なプライドは、最後まで喉から転がり出てはくれなかった。
家に帰って来てからも、独りになると途端に涙が溢れてきた。 今こうやってパソコンに向かっていても、頬を拭う手が止まらない。
でも今日、久しぶりに沢山泣いて、気持ちを心の壁に叩きつけていたら 一つだけ気付いたことがあるよ。 それは一つだけど、今まで一番欲しがっていたもので。 分かったところで何も変わらないけれど、気付いた事自体が嬉しかった。
ああ、自分って、本当に甘え下手なんだなぁ。 「別段環境が悪いわけじゃないのに何でこんなことになったんだろう」って ずっと思っていたけれど、悪いのは環境じゃなくて私の方だったんだね。
私はずっと、必死で“良い子”を演じ続けてたんだ。 幼い頃から優等生を目指していた節があったけれど、 弟ができて、彼の性格が酷く自己中だと分かった頃から 私は家の外どころか中ですらびくびくしてて、 家族の顔色を窺いながらずっとずっと生活してた。 実の親ですら、反抗すれば嫌われるんじゃないだろうかって思って 親子喧嘩の一つもせずに、ただ一方的に叱られて、今まで生きてきた。
入院中に、散々医師や看護師さんから言われてた事だったのに。 自分で気付けて、今やっと本当の意味で理解出来た気がする。
そりゃあ、17年間も自分を殺していれば心だって悲鳴を上げるよね。 ああ、やっと分かったよ。今まで目を背けていてごめんね。
後は、「家に居るよりも、家を出た方が状況が改善するかもしれない」って事を どうやったら親を傷つけずに伝えて、家から出してもらえるかを考えなきゃ。
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