色々な、現存する、私が過去に行ったことのある場所の映像が見えた。 主なものは、恐らく小学生の頃に私が見たもので。 起きた時、懐かしさで切なくて、泣きたくなった。
一番鮮明に覚えている映像は、小学校のプール横の壊れた体育館。 昔、私が通っていた小学校の隣には中学校があって、 その中学校と近くの他の中学校が合併して、私が通った中学校になった。 私が小学生になった頃には、もうとっくにその体育館は使われてなくて いつだって殺伐としていて、肝試しにでも使えそうな場所だった。
私の夢の中に、現存するものがそのままの姿で現れることは珍しい。 日頃見る夢の舞台は、大抵が現存するものに少し手を加えたような 見覚えがあるようで、本当は来たことなんて一度もない場所だから。 過去にあったトラウマを夢で繰り返すようなこともまず無い。 夢は完全にそれ個体で“夢の世界”として現実から隔離されていた。
何てことはない、つまらない夢。 でも、こういう夢のことを、本当の“良い夢”と言うのだと思う。 もう戻れない昔に戻れたかのような錯覚。 現実には絶対に実現しない、フィルターの向こうの記憶。 どんな夢よりも、つまらなくて、懐かしい夢。
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