もうあなたのあしあとがわからない。
昔は横に並んで走っていた筈の人が もう手の届かない所まで行ってしまった。
悔しいよ。
あの頃は一緒に笑ってたのに。 一度、たった一度だけど、貴方に勝てたのに。
場所はすぐ隣なのに。姿だって見えるのに。 きっと存在は、あの頃の何十倍にも距離が広がった。
こんなにも私を堕落させたものは、一体何だったのか。
現状を理由に出来るくらいに私の気持ちが軽ければ良かったのに。
貴方を目標として走っていた時間は、あまりにも長かったから。
今、貴方には遥かに及ばない人にすらも劣っている自分が憎い。
過去を誇らしげにまとって、現在に目を向けようとしない、 そんな人にすらも負けている自分が腹立たしい。
自分は何なのか。 自分は何の為に存在しているのか。 自分は誰かの為に何かが出来るのか。
ぐちゃぐちゃな現実を、私は拳に血が滲むまで叩き続ける。 悔しいのなら、それ相応にまた歩み出せば良いのに、 現実に絶望するだけで、足を進めようとしない自分に吐き気がする。
貴方と競って走っていた頃に見ていた夢。 それはあまりにも綺麗で、気高くて、 今の夢がまるで、逃げ道以外の何物でもないように見える。
貴方は私を覚えていますか。 私は貴方を覚えています。
もう、届かないけれど。
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