◎ 盲目。 ◎

もうあなたのあしあとがわからない。

昔は横に並んで走っていた筈の人が
もう手の届かない所まで行ってしまった。

悔しいよ。

あの頃は一緒に笑ってたのに。
一度、たった一度だけど、貴方に勝てたのに。

場所はすぐ隣なのに。姿だって見えるのに。
きっと存在は、あの頃の何十倍にも距離が広がった。

こんなにも私を堕落させたものは、一体何だったのか。

現状を理由に出来るくらいに私の気持ちが軽ければ良かったのに。

貴方を目標として走っていた時間は、あまりにも長かったから。

今、貴方には遥かに及ばない人にすらも劣っている自分が憎い。

過去を誇らしげにまとって、現在に目を向けようとしない、
そんな人にすらも負けている自分が腹立たしい。

自分は何なのか。
自分は何の為に存在しているのか。
自分は誰かの為に何かが出来るのか。

ぐちゃぐちゃな現実を、私は拳に血が滲むまで叩き続ける。
悔しいのなら、それ相応にまた歩み出せば良いのに、
現実に絶望するだけで、足を進めようとしない自分に吐き気がする。

貴方と競って走っていた頃に見ていた夢。
それはあまりにも綺麗で、気高くて、
今の夢がまるで、逃げ道以外の何物でもないように見える。

貴方は私を覚えていますか。
私は貴方を覚えています。

もう、届かないけれど。

   − 2006年01月26日(木) −

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