小さな機械の向こう側に
あの頃の私がいます。
自分の中に巻き起こる感情を
抱え込んで決して表には出しません。
小さく小さく蹲り
助けてくれる手にも縋ろうとしないで
一人小さく『自分』を守りつづけているのです。
今の私はあの人に出会い、あの頃の私にさよならしました。
小さな機械の向こう側に
あの頃の私がいるのです。
助けてあげたいのに。
私はあの人ではないので。
あの頃の私を上手く救う事が出来ません。
どうすればいいのでしょう。
気持ちはだけは良くわかるのに。
私はあの人のように言葉が出てこないのです。
小さな機械の向こう側のあの頃の私は、
今日も棘の城で眠り続けるのでしょうか。
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