いつも、いつも。
つまらなそうに空を見上げる生徒がいる。
私は担任など、持っていない。
教職について二十年弱。
一目見れば、生徒の事が大体わかるなんて。
幻想も良い所だ。
私は、私の事すら、良くわからない。
今の夫とは、何処で知り合ったっけ。
もう、良く覚えていない。
どうでもいいのかもしれない。
安定した収入と、今日と変わらない明日。
何の不満があると言うのか。
わからない。
いつも、いつも。
つまらなそうに空を見上げる生徒がいる。
本を読みながら生徒の間を巡回する癖のある私。
近付くと、
汚らわしいモノを見るかのような目で見られる。
謂れのない侮蔑を、教師である私が。
何処かで、こんな目を見た事がある。
安定した明日を求めて何が悪いの。
子供は、大人になる代わりに
『希望』という名の無鉄砲さを、捨てるものなのよ。
そんな目で、私を見ないで。
そんな目で、私を蔑まないで。
何処かで、そんな目を。
疲れた足取りで、重たい買い物袋を両手に下げて。
玄関の段差分すら足が上がらない。
立ち仕事だもの、仕方がないわ。
「ただいま・・・・」
そう言って顔を上げた先に居たのは。
視線の先に映ったモノは。
「・・・おかえり。」
あぁ、あの視線。
旦那と同じ目だったんだ。
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