コトバアソビ。
無断引用お断り。

2004年10月11日(月) 休息。


チッチ、と壁でマッチを擦る。

ジッと音を立てて燃え立つ炎が消えないうちに、

肩を丸めてオレは煙草に火を点ける。

流れる雲と同じ速度で飛行し続ける艇の甲板で、

しばしの一服。

ふぃーと吐き出す煙が自分の後ろへと吸い込まれていった。

団の長ともなると、自分の時間なんてモンがありゃしねぇ。

オレに許された時間なんざ、せいぜいがこの煙草一本分。

嘘みたいに突き抜けた青空をぼーっと見上げる。

おまえさんもこうやって見上げたらいいのにな。

見てみろよ。

誰の上にも空は青いぜ。

誰も憎んじゃいねぇ、天は許してる。

ほんの少しでいいから、それに早く気付け。

祈るように息を吸い込んだら、最後の灰がはたりと落ちた。

おっと、もう仕舞いか。

・・・そう、少しでいいんだ。

おまえさんが、楽になると良い。

そう思いながら、吸殻を灰皿へと投げて。

・・・オレは日常へと戻った。


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本田りんご

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コトバアソビ。