山ちゃんの仕方がねえさ闘病記
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2013年08月19日(月) 涼しい場所


 今日は昨日までの蒸し暑さと違っていくぶん凌ぎやすいです。それでも家ネコのハイドは涼しい場所を見つけて寝ていました。お盆に仏前に供えられた箱菓子を開けたら、隣にこんなのがいてビックリでした(^。^;)



 ドナルド・キーン氏の自伝に出てきたものである。タイトルの「なまみこ」という音にとても新鮮な、そして不思議な響きを感じた。「なまみこ」とはいったい何であろうか。40年以上も前、著者の父の蔵書の中に日本文学者チャンバレン博士から引き継いだであろうと思われる数多の本の中の一冊であるらしい。表紙には「奈万美古毛乃可太里」と万葉仮名で書かれていたそうだが、次頁に「生神子物語・栄華物語拾遺」とあるのを見て、初めて巫女についての話だと知ったのだという。

 一條帝の御時に二人の后、定子、彰子がおり、それぞれに仕えていた清少納言と紫式部の確執はつとに有名だ。この「なまみこ物語」は栄華物語をベースに書かれているそうだ。栄華物語は彰子に仕えた女房によって書かれているから、彰子の父藤原道長一門の側から見た宮中を描いている。(ただ私はまだ栄華物語を読んでいない。)

 栄華物語の原文をそのまま用いているところもあるという。しかしこの「なまみこ物語」は定子の側から見た一條帝の御代を描いている。二人の巫女の姉妹が登場し、道長によって宮中に送り込まれる。そしてそうとも知らずに道長の手先となり、定子や定子の実家である中の関白家一門の没落に手を貸すことになる。

 栄華物語は道長の側から一方的に書かれているものだから、この「なまみこ物語」の作者はその反対の立場から書き残したかったのではないか。

 原本は既に手元にないので記憶を頼りに書いたと筆者は言っている。少女の頃から数十年を経た後に、これほどしっかり記憶に残っているのだから円地氏の頭脳には敬意を表したい。ぜひこの「なまみこ物語」の原本が出てきてほしいと願う。


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