| 2002年06月05日(水) |
あのとき揺れていた、「ネコ」の瞳 |
寝倒して。目覚めたら夕方の4時過ぎ。 もう病院なんか行く気も起きない。 ゴメンなさい。 ブッチさせて。
くもり硝子の向こうのまだ暮れていない空を見る。 もうこうして何度目を閉じたのか。 天気の崩れる前触れか、体がダルいので買い物も諦めた。 冷蔵庫の中には何があったかなぁ。 台所には野菜は何があったかなぁ。
血の巡りが悪い頭で晩御飯の献立を考える。 あるもので何が作れるか考える。 せめて仕事していない間くらいはね。手料理で迎えてあげたいよね。
じゃがいもかな。 たまねぎかな。 トマトがいいな。 鱈にしよう。
季節外れな。
コーヒーでも。 淹れている途中で気が変わってアイスコーヒーにしたくなった。 けれど濃い目には淹れていなかったので、氷を詰めたグラスに 淹れたてのコーヒーを注いだら何だかとても水っぽくなった。
少し哀しくなって、またつま先を見る。
ちゃぶ台に肘をつき、水っぽいアイスコーヒーを喉の奥に押し込みながら窓の外を見る。 ここのところ昼は陽気がいいのに加え、夜は締め切っていると少し暑い。 ので、窓は昼も夜も開けっ放し。
「ぱらぱら」と、立てかけてある本の表紙がめくられる。 しゃがみ込んで直すつもりが、ついついページを繰る。 イタヅラの世界はけれど陽の光には弱いらしい。
そういえば昨晩、窓から入ってきたのは何だったのだろう。 どうやら夫の寝息を盗みに来たらしい。 隣にいたアタシは眠れずに暗闇の中起き出して窓の外を見た。 と。
部屋の隅でミラーチャームが揺れて光った。
ヨーコの目を思い出した。
ヨーコはバイじゃない。けれど女好きである。 アタシと似ている。 似ていないのはアタシと似ていないところである。 要は「ネコ」なのである。
以前、ヨーコが男連れでバーに来ているところへ鉢合わせしたことがある。 どうしたことかやけに突っかかってくるので、少し考えて聞いてみた。
「なによ?男がいるからなの?」 「ん。」 「じゃぁ今度男がいない時、一緒に呑もう。」 「ん。」
久しぶりに思い出したヨーコの顔は何故かふくよかで。
気がついたら窓の外を夕立が遮っていた。
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