昨夜、夢を見た。
昔住んでいた家。 広いリビングに大きなダイニングテーブル。 どっしりとした家具の類。 私の目の前でベランダへの窓にかけてあるカーテンが揺れている。 誰もいない。 音もしない。
何かを探して視線を移す。
左側にはリビングとカウンターで仕切られたキッチン。 奥には食器洗い洗浄機が置いてある。 正面に冷蔵庫。 床には何もない。
まだ何かを探している。 探して視線を移している。 不思議なことに、そこに体はないような感覚なのに、左回りに体の向きを変える。 視線もぐるりと回る。
台所が右手に来る。 左手に和室、リビングは後ろ。 目の前には玄関へ続く薄暗い廊下が見える。
廊下を少し行った右手にトイレ。 ドアを開けてみる。 中には誰もいない。 何の変哲もないトイレ。 誰かが呼んでいたはずなのに。 呼んでいた気がしたのに。
ドアを閉めた。 何かを忘れている。 何かがあったはず。 トイレとは別にもう一つ何か。
もう一つ別の場所。 バスルーム。 脱衣所と一緒になった洗面所の入り口があった。 トイレの手前だ。
脱衣所のアコーディオンカーテンを開ける。 奥に洗濯機、右手に洗面所。 明るい。 薄暗いイメージの中で何故かここだけ明るかった。 一段高くなっている。 上がって左手。 バスルーム。 アルミサッシのガラス戸は閉まっている。 暗い。 また暗い。 ガラス戸越しに見るバスルームの電気は消えていて、中は明らかに暗い。
ガラス戸を開けると、白で統一されているはずのバスルームの タイル張りの床が濃い色で主張している。 そいつらが主張するので。 ふと下を見た。
血。
次の瞬間、昼より明るく照らし出されたバスルームは床と言わずバスタブと言わず、 あたり一面、血の色を溢れ出させていた。
真っ赤なバスルーム。
あの日。 あの血の海の中に漂っていたのは。
アタシだった。
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