2002年02月27日(水) |
インサイダー取引の規制は曖昧か |
今日の日経7面「病める金融」というコラムで、トヨタ自動車副社長が、インサイダー取引規制について、次のような意見を述べていた。
「証券取引法には、インサイダー取引規制が規定されているが、企業が求めているのは、こういう場合になら違反しないというルールの明示だ。 いくらでも拡大解釈が可能な現在の曖昧な規制では、誰も怖くて自社株の取引に参加できない。」
確かに、ルールの明確化という要求は理解できる。 実際、独禁法では、ガイドラインが作られている。
しかし、それは、処罰すべき取引を取りこぼす可能性も生じることになってしまうことに留意すべきである。
結局、ルールの明確化と、処罰すべき取引を見逃さないという両者のどちらの利益を優先すべきかという問題である。
この点、裁判所は、インサイダー取引については、厳しい姿勢を見せており、処罰すべき取引を見逃さないという利益を優先している。
それは、現在の証券取引は不公正な取引が多く、そのような不公正な取引を取り締まり、証券取引の公正さをはかるということを重視しているからである。
したがって、ルールの明確化という要請は、一歩退かざるを得ないであろう。
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