2002年04月03日(水) |
取引一任勘定取引は、証券会社にとってもデメリットの方が大きい |
日経7面に、センチュリー証券が取引一任勘定取引をしていたことで、証券監視委が、金融庁に対し、処分勧告したと報道されていた。
同証券会社は、2年前にも同様の処分勧告を受けていたそうである。
取引一任勘定取引は証券取引法で明確に禁止されている(平成3年の法改正以前は、通達で禁止されていただけである)。
それでも、取引一任勘定取引をするのは、証券会社にとっては手数料稼ぎになるからであろう。
しかし、取引一任勘定取引は、投資家の保護の見地から問題であるだけでなく、証券会社にとってもデメリットの方が大きいと思う。
なぜなら、どんな株式を買っても儲かるときならいざ知らず、通常は、取引によって顧客が損をする確率の方が高く、損をした客は、証券会社に対して文句をいうに決まっているからである。
すなわち、取引一任勘定取引は、証券会社からみれば、トラブルの元になるわけであり、それは、取引一任勘定取引したことが公になって、行政処分の対象になる可能性があるだろうし、また、顧客との紛争を抱えることになり、その負担も大きいであろう。
したがって、損得勘定だけを考えても、証券会社にとっても得ではないことに留意すべきであろう。
ちなみに、取引一任勘定取引は、前述のように証券取引法で禁止されているが、私法上は原則として有効とするのが判例の大勢である。
それゆえ、取引一任勘定取引で損失を被った顧客が、取引は証券取引法に違反し無効であるから、証券会社に対し金を返せといっても、それは原則として認められないので、注意が必要である。
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