2002年08月30日(金) |
内部告発は、企業にとっても悪いことではない |
日経(H14.8.30付)・1面に、東京電力が、原子力発電所の点検で虚偽記載があったと報じられていた。
内部告発が端緒となったそうである。
原子炉等規制法では、内部告発を行った社員に対し、解雇など不利益な扱いをしてはならないと規定している(66条の2)。
これは、平成10年の茨城県東海村の臨界事故を受けて、平成11年7月に規定されたものである。
但し、この法律は、従業員が違法な事実を主務大臣に申告したことを理由として、解雇等の不利益な取扱いをしてはならないと規定しているので、国に対する内部告発のみに限定されている。
先日も、企業の法令遵守を促す趣旨から、内部告発者に不利益な処分をしてはならないという、原子炉等規制法と同じような規定を置くことを検討していると報じられていた。
少なくとも公開企業については公益的責任があるから、法律によって、内部告発を容認する制度を創るべきではないだろうか。
内部告発といえばイメージは悪いが、英語では「ホイッスル・ブローアー」(警鐘者)というそうであるから、内部告発を積極的に認めた方がいいと思う。
しかし、内部告発者の側からみて一番気になることは、誰が内部告発したかが会社に分からないことであろう。
その意味では、不利益に扱ってはならないという保護規定だけでは不十分である。
すなわち、内部告発を受けた担当者等に対し、誰が内部告発したかの守秘義務を課し、かつ、内部告発者が誰かを探求してはならないという義務まで課すべきでないだろうか。
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