今日の日経を題材に法律問題をコメント

2003年02月26日(水) 医療事故報告の義務化で対立

 日経(H15.2.26付)・社会面に、医療事故報告の義務化で対立という記事が載っていた。


医療事故の再発を防止するために医療事故の報告を義務付けるかについて、反対派は、「治療が萎縮する」という理由の他に、「医療事故報告により刑事処分を受ける可能性があり、自白の強要となる。」という理由を挙げている。


 これに対し、報告義務化賛成派は、「医療事故報告は、再発防止のために必要」「刑事事件に結びつかない範囲で報告義務を課すことは可能であり、自白の強要にはならない」と反論しているようである。


 新聞記事を読む限り、いずれの立場も、医療関係者ではなく弁護士が論陣を張っているのが面白い。


 思うに、反対派は、「医療事故報告の義務化は自白の強要にあたる」というが、交通事故でも事故の報告義務が課されているから、それは無理な理屈ではないだろうか。


 そもそも、医療関係者は、医療の専門家として専門的な資格を付与されているのだから、公益的義務を負っていると解される。

 したがって、かりに医療事故が起こった場合、それが誰の責任かは別にして、事故があったことを明らかにして今後の再発に役立てるという公益的な義務があるのではないだろうか。

 自白の強要禁止との関係についても、報告は単なる事実の伝達に過ぎないから、自白の強要とはいえないのではないだろうか。


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