今日の日経を題材に法律問題をコメント

2003年04月28日(月) 治療法のガイドラインを作成−医療過誤の重要な証拠になるであろう−

 日経(H15.4.28付)29面に、「診療ガイドライン」を作成する動きが相次いでいると報じていた。

 ガイドラインでは、治療法を明快に説明したり、治療方法の選択肢を患者に提示しているそうである。


 このような動きに対し、「ガイドラインで危険性は説明したはずという言い訳に使われそう」という意見もあるようである。


 しかし、このようなガイドラインができれば、医療過誤訴訟において患者側にとって重要な証拠となるであろう。


 医療過誤では、裁判官は医療に関して素人である。

 それゆえ、裁判官としては、治療方法がおかしいと感じても、おかしいという何らかの裏づけが欲しいわけである。


 そのため、治療法のガイドラインがあれば、それをよりどころとして、裁判官は判断を下しやすくなるであろう。


 たとえば、胃壁を修復する治療手段として、これまでは胃潰瘍を切除したり、有効性のない医薬品を投与したりして、国際基準と大きくかけ離れた治療がなされていたそうである。

 しかし、ガイドラインでは、ピロリ菌の除去を明確に位置付けており、それゆえ、不必要な胃潰瘍の切除手術した場合は、医療過誤と認められる可能性が大きくなると思われる。


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