今日の日経を題材に法律問題をコメント

2003年07月29日(火) ネットの無料音楽交換で、個人に賠償請求

 日経(H15.7.29)3面に、ネットの無料音楽交換の問題で、アメリカレコード協会が、個人の利用者に対して損害賠償請求をする方針と報じていた。


 これまでは、無料音楽交換をサービス提供する会社が標的とされていた。


 しかし現在の無料交換システムは、個人同士が直接ファイルを交換するシステムのため、個人に対し提訴せざるを得なくなったのである。


 記事によれば、一曲当たりの損害額は750ドルから15万ドルとみなすそうであり、10曲程度交換している人の場合、請求額が最大で150万ドルになる可能性があると書いていた。


 この記事を読んで、「えっ!」と思った。


 日本の法律では、請求できる損害賠償額は、個人が無料交換したことと因果関係のある損害に限られる。


 したがって、当該個人によってその曲が何回交換されたかを推定し、その分だけCD販売の機会を失ったとして請求することになる。


 この記事がアメリカの法律を理解して上で書いているのか、誤解しているのかはよく分からないが、日本の裁判では、一曲の損害が15万ドルだから、10曲交換すれば150万ドルの損害という考え方は取り得ないことである。


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