2004年01月13日(火) |
成人式で演台に上がる−器物損壊罪は成立する? |
日経(H16.1.13付)社会面で、各地の成人式の様子を報じていた。
川崎では、新成人代表が、用意した挨拶文を読まずに演台に土足で上がり、「議員の紹介が長く、選挙目当ての式だ」と批判したそうである。
これに対し、市長は「演台に土足で上がるのは器物損壊罪ではないか。告発もあり得る」とカンカンとのこと。
しかし、市長や議員のあいさつは50分も続き、最後に新成人代表の挨拶となったそうである。
これでは誰のための式か分からない。
演台に土足で上がるのは行き過ぎであるが、批判する気持ちも理解できる。
それはさておき、演台に土足で上がる行為は、市長の言うように器物損壊罪にあたるのだろうか。
判例は、食器に放尿したケースで、物は壊れていないが、器物損壊罪の成立を認めている。
食器に放尿すれば、感情上、二度と使えなくなるから、それは物を壊したのと同じであるという理屈である。
この基準でいえば、土足で上がったからといって、物理的に演台として使えることはもちろん、放尿のケースと異なり、感情上、演台として二度と使えないというわけではない。
したがって、器物損壊罪は成立しないだろう。
他方、伊東市では、酒に酔った新成人が壇上の垂れ幕を引きずり降ろし、これに対し、市長は「告訴を含め強い態度で臨みたい」と述べたそうである。
テレビのニュースで見ると、垂れ幕を引きちぎっていたから、こちらは、文句なしに器物損壊罪が成立するだろう。
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