2004年02月03日(火) |
アメリカでの経済スパイ容疑について、日本で窃盗罪を適用 |
日経(H16.2.3付)1面と3面に、アメリカで経済スパイ罪で起訴され、身柄の引渡しを求められていた遺伝子スパイ事件で、検察庁は、窃盗罪を適用して、研究者を身柄拘束したと報じていた。
その解説記事で、アメリカでの経済スパイ容疑について、日本で窃盗罪を適用して引き渡すことのバランスの悪さを指摘していた。
しかし、バランスは悪いのだろうか。
確かに、経済スパイを直接処罰する規定は日本の法律にはない。
しかし、日本国内で、会社から試料を無断で持ち出したのであれば、それは窃盗罪である。
情報の窃盗が犯罪になるかということは、刑法の勉強のときによく問題になる。
結論としては、情報を盗んでも犯罪にならないが、情報を印刷している紙を持ち出せば、その紙を窃取したと評価できるので窃盗罪が成立する。
また、コピーして持ち出したとしても、コピー用紙の持ち出しが窃盗罪に該当する。
たとえ、外に持ち出してコピーして資料を元に返したとしても、外に持ち出した時点で窃盗罪が成立する。
何だかクイズみたいだが、いずれも窃盗罪が成立する。
したがって、試料を持ち出せば当然窃盗罪が成立するから、身柄拘束されアメリカに引き渡されることはやむを得ないと思うし、バランスを欠くとは思わない。
この研究者は、知的所有権が誰に属しているのかという認識が不十分だったのではないだろうか。
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