2004年05月06日(木) |
大たこ揚げは「業務」か |
今日は新聞の休刊日のため、昨日の日経(H16.5.6)であるが、社会面に、「1トンもの大たこが落下して重軽傷を負い、警察が業務上過失致傷の疑いがあるとして捜査を始めた」と報じていた。
記事では「業務上過失致傷の疑い」と書いているが、たこを揚げるのが「業務」というのは奇異な気がするかも知れない。
交通事故で人を怪我させた場合も、たとえ、家庭の主婦が運転していても、「業務」上過失致傷罪となる。
その理由は、過失致傷罪が罰金30万円以下と軽すぎて実際的でないためである。
そのため、「業務」と意義を広く解し、懲役5年以下である業務上過失致傷罪を適用するのである。
しかし、これは「業務」という語の本来の意味を超えた解釈である。
そこで、以前、刑法学者の大家が、交通事故の場合などにおいては、業務上過失致傷ではなく、重過失致傷罪(法定刑は業務上過失致傷罪と同じ)を適用すべきであると主張した。
しかし、実務においては、交通事故などでは業務上過失致傷とすることが定着しており、誰もその刑法学者の大家の言うことを相手にしなかった。
ということで、冒頭の新聞記事のように、たこ揚げをすることも「業務」となり、それでケガをした場合は業務上過失致傷罪を問われることになるのである。
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