2004年05月11日(火) |
Winnyの開発は著作権法違反の幇助か |
日経(H16.5.11)社説と3面で、ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」の開発者が著作権法違反の幇助で逮捕されたことについて論じていた。
この事件について、新聞の論調は、「今後、争点になるのは、開発者の故意(幇助の意思)の有無だろう」とみているようである。
しかし、それは違うだろうと思う。
確かに、故意の問題も争点になるが、最も重要な争点は、ファイル交換ソフトの開発行為が、客観的にみて著作権法違反の幇助に当たるかどうかである。
そもそも、客観的に当該行為が違法でないならば、「故意」という主観面を検討するまでもなく違法ではないからである。
しかも、この問題はファイル交換ソフトの開発が著作権法違反になるかという著作権法の根源的問題が問われているといえる。
それゆえ、違法性を認識していたかどうかという故意の問題だけに矮小化してはいけないと思う。
このような理由から、故意の問題よりも先に、ファイル交換ソフトをつくったことが著作権法違反の「幇助」にあたるかどうかが最も検討されるべきことである。
そして、私はこのようなプログラムの開発は著作権法違反にはならないと考える。
そもそも、「Winny」のようなファイル交換ソフトは、サーバーを介さず情報交換できることから、使い方次第では様々な可能性を秘めていると言われている。
すなわち、そのプログラムは、ナイフとかコピー機と同じ単なる道具に過ぎないのであり、それ自体は違法でないといえる。
実際、アメリカではファイル交換ソフトはビデオと同じであるという理由で違法でないとされている(ビデオも使い方によっては違法なダビングが可能である)。
もちろん、ファイル交換ソフトは著作権法違反であるという意見もあるかもしれない。
しかし、たとえそうだとしても、それは民事訴訟の中で解決されるべきことである。
本件のような見解が分かれている微妙な問題について、いきなり公権力が介入することは問題であろう。
京都府警では、Winnyを使った警察官によって捜査関係書類がインターネット上に流出している。
今回の事件は、それに対する報復ではないかと邪推したくなる。
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