2004年06月21日(月) |
知財戦略における訴訟リスク? |
日経(H16.6.17付)社説で、知的財産を重視する戦略が定着していると評価する一方、職務発明の対価について高額判決が相次ぎ、この問題が訴訟リスクとして浮上しそうであると結んでいた。
要するに、知財戦略は順調に進んでいるが、職務発明の対価に関する訴訟リスクがのどに引っかかった棘のようになっているということらしい。
確かに、ある特許がおお化けするや、発明者から巨額の請求されたのでは、企業経営は不安定になってしまうという心配は分かる。
しかし、実際の請求額は新聞をにぎわす事件でも数千万円程度で、1億円を超える訴訟はわずかである。
その程度の金額で企業経営が不安定になるということはないと思う。
青色発光ダイオードの発明では200億円という額が話題になっているが、これは会社側の訴訟の稚拙さも原因であり、例外中の例外である。
ある製品について当該発明の寄与度は決して大きくないことが普通であり、職務発明の対価の金額も落ち着くべきところに落ち着くのではないか。
しかも、特許法の改正により、労使間で定めたルールが合理的であれば、裁判所はそれを尊重することになったという事情もある(経済界では、これでは不十分であるという批判が強いが)。
このような事情を考えると、「職務発明の対価の問題が訴訟リスクになっている」というのは少し言い過ぎではないかと思う。
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