| 2012年05月16日(水) |
「刑事裁判ではこうすべき」とあっても、鵜呑みにしないことにしている |
日経(H24.5.16)社会面で、ロッキード事件で一審裁判長を務めた半谷元東京高裁部総括判事が殺害された事件で、東京地検は、殺人容疑で逮捕された妻を、心神喪失状態で刑事責任を問えないとして釈放したという記事が載っていた。
この裁判官は、私が初めて東京高裁の控訴審で弁護人になったときの裁判長であった。
私は、初めての控訴審ということで、弁護士会が出した刑事弁護マニュアルを熟読して裁判に臨んだ。
そのマニュアルには、「控訴趣意書はすべて朗読すべし」「被告人質問は必ずすべし」とあった。
それで、控訴審の法廷で「控訴趣意書を朗読したい」と述べたところ、半谷裁判長は、それをあっさり認めた(その後、控訴趣意書を朗読したことはないから、かなり珍しいことだったと思う。)。
次に、被告人質問したいと請求したら、法廷の時間が決まっているためだったと思うが、「控訴趣意書の朗読を認めたのに、被告人質問までするのですか」と言われて断られてしまった。
今から思えば、時間の制限がある以上、控訴趣意書の朗読は要求せず、被告人質問だけ請求すればよかったのであるが。
このこと以来、弁護士会が出している本に「刑事裁判ではこうすべき」と書いてあっても、それを鵜呑みにしないようにしている。
冒頭の記事を読んで、そんなことを思い出した。
半谷裁判官のご冥福をお祈りします。
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