| 2014年02月26日(水) |
事前に辞任届を提出させることの問題点 |
日経(H26.2.25)ネットニュースで、NHKの籾井会長が、理事に対し、辞任届を預けるよう求めていたと報じていた。
予め辞任届を提出させることについては当然批判が強いが、他方、「一般の会社でもよくあること」と擁護する声もある。
確かに、一般の会社において、社長が取締役に予め辞任届を提出させることはあるようである。
しかし、そのようなことは止めた方がいいと思う。
なぜなら、取締役に辞任の意思がなければ、その辞任届は効力がないからである。
つまり、予め提出された辞任届は法的には無効である。
そもそも、社長(代表取締役)には取締役の解任権はない。取締役を解任するのは株主総会である(会社法339条1項)。
それゆえ、辞任届を提出させておいて、社長が事実上の解任権を得ておこうとするのは、法が予定しているガバナンスとは異なる。
そのようなコンプライアンスに反することまでして社長の権限を強くしようとする発想自体が問題である思う。
ひるがえってNHKの問題を見ると、放送法では、理事が職務執行の任にたえないと認められるときであっても、会長は、経営委員会の同意を得なければ罷免できない。
会社の取締役は、株主総会の決議によっていつでも解任できるから、NHKの理事は会社の取締役よりも地位が保障されているといえる。
それを、会社の誤った常識を持ち込み、辞任届を提出させたのであるから、取締役と理事を同列に扱った誤りと、事前に辞任届を提出させること自体の誤りという二重の誤りがあるといえる。
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