| 2014年11月04日(火) |
「安楽死」「尊厳死」 |
日経(H26.11.4)社会面で、脳腫瘍で余命わずかと宣告され、「尊厳死」を選ぶと宣言していたアメリカの女性が、自宅で医師から処方された薬を服用し死亡したと報じていた。
このニュースは日本でも話題になっていたが、テレビなどでは「安楽死」と「尊厳死」をあいまいなまま論じていたように思う。
もっとも、「安楽死」と「尊厳死」の定義は論者によって異なるため、両者を混同したとしてもやむを得ないかもしれない。
ただ、「安楽死」と「尊厳死」は使われる場面が違うように思う。
「安楽死」は、死に直面している人に、その嘱託・承諾の下に医学的処理を施して楽死させる行為が嘱託・承諾殺人罪にあたるかという場面で使われることが多い。
これに対し「尊厳死」は、もっぱら延命治療を施すかどうかという場面で使われるようである。
いずれにせよ、当該女性は自ら薬を服用したのであるから、「安楽死」の問題でも「尊厳死」の問題でもなく、自殺である。(薬を渡した医師は自殺ほう助となる。)
テレビでは、アメリカの女性のニュースについてどう思うかというインタビューを行っており、賛成、反対が半分ずつくらいであった。
しかし、「がんで死に直面したとき、あなたは自殺しますか」と聞いていれば、ほとんどが反対になったのではないだろうか。
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