今日の日経を題材に法律問題をコメント

2014年11月11日(火)

 日経(H26.11.11)社会面で、小笠原諸島周辺海域などに中国のサンゴ密漁船が多数押し寄せ問題になっていたが、撤退の動きを見せていると報じていた。


 これでしばらく落ち着くであろうが、サンゴの価格が高騰を続ければ、再び密漁船が押し寄せる可能性はある。


 外国人が日本の排他的経済水域内で無許可で漁業を行った場合には1000万円以下の罰金が課せられるが、担保金を積めば、違反者は釈放され、船舶だけでなく漁獲物も返還される。


 担保金の金額は定まっていないが、罰金が1000万円以下であるから、それ以下にせざるを得ず、400万円前後と言われている。


 そのため、担保金を支払った方が得ということになり、密漁船が大量に押し寄せることを防止できないのが現状である。


 政府は、対策として、早急に法改正して罰金額と担保金を引き上げる方針と報じられている。


 もちろんそれも有効であるが、担保金を積んでも、船体は返還すが漁獲物は返還しないように法改正できないのであろうか。


 そもそも、担保金を積んだ場合に漁獲物まで返還する理由がよく分からない。


 海洋法に関する国際連合条約では、「拿捕された船舶及びその乗組員は、合理的な保証金の支払又は合理的な他の保証の提供の後に速やかに釈放される。」と定めている。


 すなわち、「船舶及び乗組員」の釈放は定めているが、漁獲物の返還までは義務付けていないようである。


 漁獲物を返還しないと保管費用がかかるということかもしれないが、金銭に換価して保管することができるとするなど、何らかの手当てによって解決は可能であろう。


 そうであれば、排他的経済水域内における密漁対策としては、罰金と担保金の引き上げとともに、担保金を積んでも漁獲物は返還しないようにすべきではないだろうか。


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