今日の日経を題材に法律問題をコメント

2015年02月25日(水) 顧問弁護士と社外取締役の東証の基準

 日経(H27.2.25)3面で、東京証券取引所が、上場企業に求める企業統治(コーポレートガバナンス)ルールの原案を公表し、独立性の高い社外取締役を2人以上選ぶように促すと報じていた。


 東証に上場している企業は3000社以上あるから、そのすべてで独立性の高い社外取締役を2名以上選任するのは大変なことである。


 そうすると手っ取り早い候補者として、顧問弁護士や公認会計士が念頭に浮かぶ。


 ただ、顧問弁護士を、その地位のままで社外取締役にすることは、東証の定める「独立性の高い社外取締役」の要件に抵触する可能性がある。


 というのは、東証の基準では、報酬が多額の弁護士・会計士等は独立性がないとしているからである。


 ところが、「報酬が多額」といっても具体的数字が示されていないため、社外取締役に就任する弁護士は、念のため顧問契約を解消せざるを得ないことになる。


 しかし、最高裁は,監査役である弁護士がその会社の訴訟代理人となることを容認し、立場が併存しても、監査役の独立性を害するものではないことを認めている。


 そうであれば、東証は「多額」の基準を示して、顧問弁護士と社外取締役の併存の余地を認めるべきではないだろうか。


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