今日の日経を題材に法律問題をコメント

2015年05月19日(火) トヨタ自動車の種類株式発行と「公開会社」の定義

 日経(H27.5.19)投資情報面の「一目均衡」というコラムで、トヨタ自動車が導入を発表した「AA型種類株式」について書いていた。


 この株式は、5間保有すれば発行価格でトヨタに買い取ってもらえ、配当は1年目が発行価格の0.5%で、5年目まで徐々に高まる仕組みである。


 種類株の一種であるが、この株式は5年間は売れないという譲渡制限が付いているという特徴がある。


 会社法は、譲渡制限のある株式と、譲渡制限のない株式との二種類の株式発行を認めているので(108条1項4号)、そのような株式発行も可能である。


 ただ、一部の株式でも譲渡制限がされた場合には、「公開会社」(会社法2条5号)でなくなるのではないかという問題が生じるかも知れない。


 この点、会社法は、「公開会社」の定義として、「発行する全部または一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式の承認を要する旨の定めを設けていない株式会社をいう。」としている。


 分かりにくい表現であり、解説書でも「じっくり読むと分からなくなる。」としていたが、結局、一部の株式でも譲渡制限がなければ、公開会社ということを意味している。


 したがって、トヨタ自動車が公開会社であることに変わりはないことになる。


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