今日の日経を題材に法律問題をコメント

2015年05月20日(水) 特定の者に「相続させる」旨の遺言と、代襲相続

 日経(H27.5.20)21面の「もしものホーム法務」というコラムで、Aさんは父親から家業の経営を任されており、また、いずれは自分の長男に店を継がせたいと思っているが、自社株式等がすべて父親名義のままのため不安を持っているというケースについて書いていた。


 当然、父親に遺言書を作成してもらい、実質的に経営しているAさんに会社の株式等を相続させる旨の遺言をしてもらうべきである。


 ただ、Aさんが父親より先に亡くなった場合のことも考慮しておく必要がある。


 最高裁は、平成23年2月22日判決において、特定の者に相続させるという遺言をした場合において、その者が遺言者より先に亡くなったときには、特段の事由がない限り、代償相続はしないと判断しているからである。


 つまり、Aさんが相続するはずだった分について、Aさんが先に亡くなった場合、原則として、Aさんの長男が相続することにはならないのである。


 そのため、父親の遺言において、「Aさんが死亡している場合には、その長男に相続させる」としておく必要がある。


 または、Aさんの長男に相続させるつもりはない場合には、「Aさんが亡くなった場合には、Aさんに相続させる旨の遺言は失効する」と明記しておくべきである。


 遺言書作成の助言を求められた弁護士等の専門家としては、その点をきちんと説明しておく必要がある。


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