蒸しなすを作るために剥いた皮。
確か なすの皮のきんぴら というのが“夏ごはん”の本に載っていたので、 作ってみることにした。
どこに載ってたっけ? シンクの前に立ってページをめくっていく。
この本は、 装丁がシンプルで写真もきれい。 涼し気なランチョンマットの上には 冷たい水の入ったガラスのコップ。 竹で編まれたざるに並んだアユやヤマメ。 ちょっとキズはあるけど新鮮そうなトマト。 大葉で包んだ梅干しおにぎり。 透明感のある冬瓜の煮物。 素朴な小鉢に盛られた薬味のネギやミョウガ。 解けかけの宇治しぐれみたいなキュウリの和風スープ。
なすの皮のきんぴらを探していたのに、 あっちこっちめくっては見とれてしまった。
ふと、電車の中にいるような気がした。
そうだった。 この本。 もう何年前か忘れたけど、 電車であの人の隣に立っていたときに 見ていた本だ。 ちょっと腕がぶつかりそうになったんだっけ。
あの人は全然興味なさそうだったけど、 ちょっとぐらいは 本のほうに視線を向けたかもしれない。 だって写真がきれいだもんね。
あんなふうにすぐそばに立つことって 最近は全然ないような気がする・・・。
今どこにいるんだろう。
最後に見てから もうすぐ2週間。
夏バテしてない? たまにはのんびりしてる?
少し前に 南アルプスの本を見てたっけ。 また出かけたのかな? わからないけど・・・。
ちょっとせつなくなった。 あしたもいないかもしれない。
期待しないでおこうと思った。
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