長い長い螺旋階段を何時までも何処までも上り続ける
一瞬の眩暈が光を拡散させて、現実を拡散させて、其れから?

私は、ただ綴るだけ。
音符の無い五線譜は、之から奏でられるかも知れない旋律か、薄れた記憶の律動か。








2004年01月30日(金) 誰も居ない休日

 風邪が、治りきらない。……今年の風邪はしつこいのかしら。

 誰に聞かせるわけでもないけれど、ピアノを弾いている。私の指の一本一本が鍵盤を叩いているというよりは、ハンマーの一つ一つが弦を叩いているだけの無機的な音しか今は出ない。出すことができない。多分、何一つ感情の篭っていない音。以前の、小学生だった頃の自分では考えられないような音を出しているのだと思う。あの頃は、音に感情が嫌というほど表れたから。
 短絡的なのは嫌い。だから、考える。
 誰が聞いているわけでもないのに、音をひとつ外したくらいで苛立つ。其れが何度も続けば、苛立ちは募る。熱が上がり始めて、然し、冷却は一瞬の出来事に過ぎない。一呼吸の間に、冷静になって、次の無機質な音を紡ぎ出す。

 小学三年の頃より人知れず抱いてきた信念が揺らぎ始めるのを感じて、其れが脆く崩れ去ることに恐怖して、其の結果が此の体たらくかと思うと私は悲嘆する。其の頃から変わらず続けてきたことといえば、ピアノを弾くことと、読書くらいなものだろうか。
 瞑目して瞼の裏側に描く、青い薔薇。不可能の象徴と言われた其れが花開く時、不可能という言葉は何処へいってしまうのだろう。

 太陽が西の空に落ちていくのを待って、私はピアノの前から離れるだろう。










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