長い長い螺旋階段を何時までも何処までも上り続ける
一瞬の眩暈が光を拡散させて、現実を拡散させて、其れから?

私は、ただ綴るだけ。
音符の無い五線譜は、之から奏でられるかも知れない旋律か、薄れた記憶の律動か。








2004年02月04日(水) 春遠し、鎖された翼

 立春。――北国の立春はもう少し遅くするべきよ。何が立春、寒過ぎです、雪降り過ぎです、バスの時刻遅れ過ぎです。北国の春は遠い。


 細いけれど強度のある鎖が巻き付いて離れない、放れない。此の鎖を千切ることが出来れば、得られる自由が目の前にあったとしても。多分、私は鎖を千切ることが出来ない。力が足らないとか技術的な問題とか、そういうことは無いだろう。きっと、否、多分、千切ろうと思えば誰にでも、簡単に、千切ることが出来る代物であっても。私は、本能的に千切らない、千切れない。
 鎖は其れ独特の冷たさと熱を持って私の四肢を縛りつけるだろう。雁字搦めに。鈍い痛みはやがて苦痛となり、冷汗が流れても其れを拭うことすら出来ないかも知れない。千切ろうと思えば、何時何処でも千切ることの出来る細い鎖。其れは、不自由という名かも知れないし、拘束という名かも知れない。或いは、過保護という名かも知れない。
 私は安住する。鎖に縛りつけられた四肢を自由に動かすことが出来なくても。其れは、私の本意ではない。それでも、安住する。鳥籠の中で生まれ鳥籠の中で育ち、縦令翼を持っていても大空を飛ぶことを知らない鳥のように。目の前の自由に眼を瞑るだろう。

 使われない翼はやがて朽ち果て其の役割を果たせなくなるかも知れない。










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