長い長い螺旋階段を何時までも何処までも上り続ける
一瞬の眩暈が光を拡散させて、現実を拡散させて、其れから?

私は、ただ綴るだけ。
音符の無い五線譜は、之から奏でられるかも知れない旋律か、薄れた記憶の律動か。








2004年02月06日(金) 満たされない穴と狂いと欠けたもの

 何かが微妙に狂い始めて、元に戻らない。機械仕掛けの時計塔の内部で小さな歯車が一つだけ欠けてしまったように。一つでも欠ければ、もう二度と動かなくなってしまうように。もう二度と、元通りには戻らないように。

 緩やかに蔓延していく怠惰と弛緩する感覚。或いは、鋭敏化し過ぎて麻痺してしまった感覚と緊張。ぼやけて輪郭の判然としない視界の中で蠢く人間の四肢。何処までも犇き合って、鳴り止まない音が鼓膜を振動させ続けるように、肌のあらゆる部位に隙間無く針が突き刺さるように、何かに刺激を与えて止まない。

 地上を見張る月が大きく、薄縹色の空に昇り始める。月齢十五歳の黄色い円が、毒々しくも無垢な光を反射して空を支配する。ネオンが映り込んだ禍々しい赤紫の空。見出される被写体は何時も病的で、何処か狂っていて、其れでいて完璧。

 白い糸と黒い糸が絡み合った時、二本の糸が一本になったとしたら、其の糸は何色をしているのだろう。白黒の侭かしら、其れとも灰色になるのかしら、黒が白を呑み込んでしまうのかしら、白が黒を消してしまうのかしら。意図せずに、黒と青で統一されてしまった文房具達が机上に散乱する。ペンを手に握り締めても、其れだけでは何も書けないというのに。

 足りないものは満たされる事無く穴を空けた侭で、やがて全て消えてなくなってしまうのかも知れない。檸檬の黄色と歪んだ形と酸味も、今は穴を埋めてくれそうには無い。


 私信気味に追記:例のタイピングは現在650字。










 <<  道標  >>


一言メッセージフォーム。長文は此方をどうぞ。




片翼 [MAIL] [CLAP!]

My追加