東横線に乗って渋谷まで。
隣に親子連れが乗っていました。母親は少しばかり派手ではあるものの普通のママ、推定年齢42歳。娘は見るからに好きなバンドはピストルズとでも言いそうなパンクで理不尽なナンシー、推定年齢18歳。マスカラを鬱陶しいほど塗りたくり、着ていたカットソーには勿論のことドクロマーク、履いていたオールスターの靴紐はレインボゥカラーでした。きっと彼ピがいるとしたらシド・ヴィシャスかジョニー・ロットンか中島らもに違いありません。
この娘が電車の中で脇目も振らず一心不乱に御化粧をしていらっしゃいました。その横にいるママは娘に何も言わず他人事のように傍観するのみってのが、今日の我がニッポン国の常套手段だとは思いたくありません。が、現実はそうでした。何か言ってやれと。不細工な娘が電車の中で更に不細工なナンシーへと変貌を遂げていく姿を他人様に見られているってのに...。まあ、いいや。娘には娘の生き方があるし。
そんなナンシーの常識ハズレっぷりは、パンクな彼女にとって己の存在を世間に知らしめる唯一の手段なのかもしれないし...、なんて思っているところに電話の着信音が鳴り響きました。残念ながら着メロは『ANARACHY IN THE U.K.』ではありませんでしたが、勿論その発信源はナンシーの携帯電話です。そして当たり前のようにその電話に出て話し始めました。それが彼女のパンキッシュなイキザマなのです。
がしかし、電話の応対をする彼女の口から飛び出した言霊は「はい、宜しくお願い致します」、「その件につきましては、後ほどこちらからお電話させて頂きたいと思います」みたいな。それはナンシーが最も苦手と思われる上下関係の染み付いた流暢な敬語でした。嗚呼、ナンシー。中途半端が極まりないよ。俺は御前に失望したーよ。バイトや仕事なんかすっぽかしても良いじゃねえか。Fuck!、Shit!そんな一言で片付けるそんな御前が見たかったYO!ああ無常。MUGO・ん…色っぽい。
山手線に乗り換えて代々木へと。
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