いろいろ、考えすぎたんだと思う。
あのあとずっとねむれなかった。 かなしくてさみしくて。 そのすべてがひとり思考の空回りだと、 よく理解しているのですが。
自分で勝手に気をつかって、 自分に嘘をたくさんついて、 本当のことを伝えられないまま、 ひとりひざを抱える日々。
きのうもそんな日々のうちの一日でした。 風邪のせいか背筋がひんやりとして、 分厚いトレーナーを着込んで眠ろうとしました。 それでも手足がすっかり冷えて、 何度も何度も寝返りをうちました。 ときおりTVをつけてはみるのですが、 どれもつまらなくて仕方がない。 はやく寝なければという焦りだけが募る。 ふと、 むかしすきだった本を読んでみたい衝動にかられる。 けれどその本を大捜索すればあたたまりかけた躰も冷えきり、 かすかに残る睡眠の手がかりを完全に見失ってしまいそうで 怖くて起きあがる気にはなれなかった。
そうやって幾時間かが過ぎていった。 いちにちくらい眠らなくたってひとは死なない。 大丈夫だと自分に言い聞かせて、 つかの間の眠りに手が届いたのは4時も過ぎた頃だった。
浅い眠りの中で、 暗唱出来るほど読み込んだ本を幾年ぶりかに手にする 自分を夢みていた。
不思議に、 今日いちにち、何事もなかったかのように過ごせた。
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