会社をやめたいと正式に話をすることができました。 本当はもうあと1週間ほど後にしようと思っていたのですが。
今、うちの事務所はたいへんなことになってるの。 他支店の事業の応援で、 たった二人しかいない社員さんが外へほとんど出っぱなしになってるの。 日常業務はもちろん投げ出して、 派遣社員の女の子二人で、 事業の後方支援や日常不可欠な業務を必死にこなしている状態。 他支店の資料請求電話や問い合わせのメール攻撃に、 脳味噌フル回転で対応しています。
そんな状況でやめたいなんて言い出すのは 正直気が引けました。 やめたい理由はいろいろあるけれど、 派遣先に迷惑をかけない時期を選んで 結果、今のタイミングになってしまった。
派遣元からの連絡不備や手違い、 それに対するフォローや、意志疎通の悪さが最大の原因。 上司には何度も連絡を取り改善を申し入れたのですが、 いつもひとあたりよく笑って何も答えがかえってこない。 そういうことがイヤなんです。 弱腰に話をさけて笑っている姿を、 ときにひとは優しさと取り違えたりもするけれど、 本当に優しいって、そういうことじゃあないはずでしょう?
やめさせてください、と伝えた私に、 上司は笑顔で、「もう、限界?」といいました。 どういう意味かと私が問うと、それには答えず、 「で、いつまで?」とまた笑顔。 彼の頭の中で、次の人間をどうやって送り込むか、 その段取りが駆けめぐったのがはっきりと見えました。
かなしかった。 私なりに2年間、がんばってきたつもりです。 私がやめることによって事務所がどんな状況になるか、 引継がれる仕事がどんなにたいへんか。 私の前にどれだけのひとが業務についてすぐやめてしまったか。 そんなこと、彼にはなんにも関係ないんです。 うそでもいい。 「どうしてやめたいの?」と聞いてくれたら。 ひきとめてくれなくてもいい、 せめてありがとうといってくれたら。 彼にとって私はひとじゃなかった。 やっぱり駒のひとつに過ぎなかったんだってはっきりわかった。 いくらでもかわりはある、 たくさんの駒のうちのたまたま一個だったんだって。
さみしくなってメールをいろんな人に打ちまくって、 それでも返事が返らないひとりの夜や、 友達に約束をすっぽかされたとき。 大切にしていたいろいろなことを いとも簡単に上から取り上げられてしまったとき。 寝不足なのに背筋がひやりとしていつまでも眠れない布団の中で、 私は切実に思う。 ひょっとして私は本当にひとりぼっちなんじゃないかって。
そうじゃない、そうじゃないと 必死にうち消す夜は果てしなく長い。 朝の光は限りなく遠い。
話があっちこっちに飛びましたね。 今、すこし不安な気持ちをきちんと伝えたいのです。 同じ派遣会社で一緒に仕事をしていて、 私より1ヶ月先にやめてしまう女の子と、 一日中ばかな話ばかりして大笑いしてすごしました。 駒として扱われていたという哀しい事実や 忙しいこの時期にやめるという罪悪感。 それをごまかすために必死にふたりふざけあってた。 ちいさくて、むなしい努力です。 けれど他にどうすることもできなかった。 今日だけは、と自分を許して仕事の手もやすめがちに、 ふたりたくさん話をした。 核心をつかない、まとまらない話だった。 でも、 本当にやさしい気持ちが伝わる、 お互いを思いやる時間だった。
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