まだ夜も明けきらない頃。 耳元で鳴って切れるケータイ。 見覚えのない東京の電話番号。 ワンギリだ。むっ、としつつ眠りに落ちる。 とすぐにまた電話。 引き剥がすように眠りから頭をもたげてケータイを見る。 さっきとは違う東京の電話番号。 なんなんだよいったい。 部屋の隅に放り投げる。
待ってる電話は決して鳴らない。
迷惑はかけたくない、 なんにも期待はしてない、 だからせめてこういう形で、 見てくれなくたってかまわない、 伝えようって決めたのに、 ワガママだね、 あまりに何も還ってこない、 虚しさ淋しさ苦しさ自滅寸前。
いっそ、 今までの記憶全部忘れてしまって、 未来永劫絶対に、ゼッタイに約束なんて、もうしない。 なんてぜったいできやしない。 誰にとってちっぽけな約束だったとしても、 私にとっては大切な大切な未来をつなぐ かけがえのない記憶の一部なのです。
カラマワリムナシク、 窓の外は春の陽ざし。 カサカサノココロ、 風とたゆとう桜。 カカエタママドコニユコウ、 どこへ流されていくのだろう。
桜から輝く新緑の季節へ。
すがすがしい空気とうらはらに、 やりきれない気持ちがとぐろを巻く。 不信不安不満不協和音。
見ないように目を閉じた。 何もかもを閉じるように、 瞼を下ろした。
Close your eyes
やらなければならないことを残して、 また、いちにちを閉じてしまった。 後悔。けれどどうしていいかわからない。
答えを。
それは反則? 私は、 また目を閉じて。
|