息をする事、 選択する事、 前に進む事。
だけどそういう事のために、 いつもいろんなもの失い続けている。
わるい事ではないんだけど、 なんとなく気持ちが重い。
失うかわりに、 私はいろんなものを手にいれているはずなのに、 手からこぼしたものばかりを、 惜しんでいる。
手のひらの大きさは決まっている。 すべてを包むことはできない。 だからたいせつなものを落とさないように、 全力で考える。 ほんとうにうしないたくないものは、いったいなんなのか。
だけどときどきなにがたいせつなのかわからなくなる。 なにもかも捨ててあたらしいなにかを掴みたくなる。 さっきこぼしてしまった、 溶けてしまったものがいちばんたいせつな気になる。
ケーキを半分に切る。 半分になったのをまた半分に切る。 そのまた半分を半分に、半分を半分に。 理論上、どこまでも半分に切ることができる。 中学校で習った、質量保存の法則。 切っても切っても決して消えることはない。
なんてね。 消しちゃうのは簡単。 たべちゃえばいい。
ケーキはおいしくたべるもの。
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