最近、 いっぱいいっぱい、 という言葉を口にするたび、 コップに、 ぎりぎりまで水の入ったところを思い浮かべる。
ところで最近の私はうつわがちっちゃくて、 おまけにはいってる液体が、 なんだかどろどろぬるぬるしていて、 どこに捨てたもんだか、 どう始末してよいもんだか、 途方に暮れる毎日。
いっそのこと、 氷がいっぱい入ってて、 シンプルで水滴がいっぱいついてる、 指がぴりぴり張り付いちゃうような、 飲んだら頭がキーンと冴え渡るような、 そんなグラスならいいのにね。
きっちり冷えた陶器のグラスで、 なみなみと注がれた金色のビールと 白くてきめ細やかな泡でもいい。 ぐいぐい飲み干して、おかわりまでしちゃえる。
見えている、 事実なんてすべての真実に比べたら、 氷山の一角。 ガラスのコップにロックアイスを入れて、 カルピスをつくろう。 からからと懐かしい音が、 初夏の網戸越しの風に、 忘れていた甘い未来を透かして見せる。
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