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2005年08月11日(木) ■ |
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Vol.597 2度登るバカ |
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おはようございます。りょうちんです。
そして俺は12年ぶりに、日本でいちばん高い場所に立つことができた。 午前10時半。須走口から俺らは登山を開始した。12年前と同じ登山口から同じルートを辿り同じ山小屋に泊まって、あの日と同じように頂上をめざす行程で。天候はくもり。目標の山頂は、鉛色の雲に隠れて見えない。あの雲の向こうにあるゴールに向けて、8kgの荷物が入ったリュックを背負い一歩一踏みしめて登っていく。 雲は時折雨を連れてきた。山小屋のベンチで休憩をするたびに落ちてくる雨はゆっくりしすぎるなよと急かしてくれているようで、シャワーのようにここちよく降り注ぐ雨粒に感謝をした。やがていつのまにか行く手を覆っていた雲が晴れ、山頂が顔をのぞかせた。麓の方に目をやると、遥か小さく見える街並みとすばらしい雲海。気がつけば俺らはずいぶんと登ってきていたようだ。出発から6時間。12年前よりも早いペースで、宿泊予定の8合5勺にある山小屋へ到着。思ったよりも俺の体力はまだ残っているようだ。 夜、外へ出た。ぼんやりと遠く霞む街の夜景。そして見上げれば満天の星空。天の川まではっきり見えた。流れ星もいくつも見えた。岩だらけの登山道に寝転がり、さそり座や夏の大三角の下で俺らの天体観測は時間も忘れるほどに夢中になれた。 起床は4時。山小屋の前で日の出を待つ。やがて絵に描いたような雲海の向こう、雲の隙間からオレンジ色の太陽が顔を出した。御来光だ。線香花火のような暖かな光は、疲れと眠気を忘れさせてくれなおかつ希望と感動を教えてくれた。 2日目、山頂に向けて再び俺らは歩き出す。ここからは急勾配が続き、すぐそこに見える頂上がなかなか近づかない。ペースを落とし何度も休みながら、そしてついに俺らは頂上に辿り着くことができた。涙が出るほどの大感動はなかったけれど、富士山のてっぺんで食べたおにぎりは最高にうまかった。 富士登山には、「登らぬバカ、2度登るバカ」という格言がある。12年ぶり、2度目の富士山制覇を果たした俺だが、バカな俺に3度目はあるのだろうか。
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