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りょうちんのひとりごと
りょうちん
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2006年01月08日(日)
Vol.627 軽井沢

おはようございます。りょうちんです。

2ヵ月前。軽井沢へみんなで紅葉を見に行こうという話に俺が乗ったのは、本当は元気のない友達を励ますためだとこっそり教えられたからだった。仕事が忙しく俺の方こそいっぱいいっぱいの毎日を送り始めていた頃で、最初はそんな誘いも断るつもりでいたのだが。離婚したことをなかなか打ち明けられず、新たに出会った最愛の人が急死し、仕事でのトラブルにも悩んで、不幸続きですっかり落ち込んでしまった大切な友達を少しでも元気づけてあげたくて、俺も軽井沢へと向かった。
彼女は、思ったよりも元気だった。くだらない話で笑ったり、おいしいものを食べて喜んだり、以前の彼女と何も変わらないように見えた。しかし夜が更けてお酒の量が多くなってくると、彼女は背負った傷をぽつりぽつりとゆっくり俺らに話しはじめた。絶望の底に突き落とされてどうしていいかわからなくなったこと、今でも辛くて悲しくて時々泣いてしまうこと、その痛みもだんだん和らいで少しずつ前向きになれたこと、復帰した職場での人間関係が上手くいかずそれが新たなストレスになっていること、でも落ち込んでいる自分を誘い出してくれた俺らに感謝していること。穏やかに話す彼女のコトバに、俺らは静かに耳を傾けていた。
翌日。俺らは鮮やかに色づいた木々を見たり、自転車に乗って湖に行ったり、お土産屋さんを見て回ったり。そんな中で彼女は、本当に良く笑っていた。何かが吹っ切れたように、大笑いの連発だった。「こんなに大笑いしてばかりなのはホントに久しぶりだよ!」と、彼女は自分でも言っていた。笑っている彼女を見て、俺もうれしくなった。無理してでも軽井沢に行って良かったと思った。
軽井沢から帰ってくると一段とあわただしい日々の連続で、ココロに余裕がなくなった俺もひどく落ち込んだ毎日を過ごすようになった。それでも今日までなんとかやってこれたのは、あの日彼女の痛みを聞いたからなのかもしれない。必死でがんばる彼女を見たからなのかもしれない。ココロのどこかで、ずっと俺はそう思っていた。軽井沢で救われたのは彼女ではなく、実は俺の方だったようだ。